何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「ーーうん、行くよ」


あの時のことを思い出して、行ったらますます心が乱れるような気がしたけれど、悠の弟は重大な話をしてくれそうだ。

行かないという選択肢はありえない。


「よし、じゃあ行こう。ここから歩いてすぐだから、付いてきて」

「うん、ありがとう」

「さ、桜。私もいいのかな?」


歩き出した悠の弟の後に続く私に、戸惑いながら詩織が尋ねる。


「弟くんが2人に話があるって言ってたから、いいみたいだよ。ーーそれに」

「それに……?」

「いろいろあってさ……正直、怖くて。詩織に一緒にいて欲しい、な……」


恐る恐る、自分の弱さを打ち明ける私。詩織は優しく受け止めてくれることは分かっていたけれど、やはり少し怖かった。


「そういうことなら。喜んでご一緒いたす」


詩織は頼もしく微笑んで、はっきりとそう言ってくれた。


「ーーありがとう」


彼女のまっすぐな優しさに感激してしまう私。

詩織と仲良くなれて本当によかったと、改めて実感した。

そしてそんな会話をしているうちに、中井家に私たち3人はたどり着いた。
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