何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
この辺では見慣れない制服を着ていた。学校が終わってから、悠のお見舞いに駆けつけたのだろう。

美香ちゃんは私に不敵な笑みを向けると、私を押しのけるように悠と私の間に入った。


「悠、具合どうー?」

「骨折してる所以外は別に平気。早く退院させてくんないかなー」

「だめよ、まだ安静にしないと。交通事故の痛みはあとから来るっていうし。でも、元気そうでよかった!」

「おー、サンキューな、美香」


親しげな会話。二人の間に、長い年月によって築き上げられた絆があることを見せつけられる。


「ふふ、私毎日お見舞いに来るからね」

「え、いいよそこまでやんなくて。美香が住んでる隣の市から来るの遠いじゃん」

「いいの! 私が来たいんだからー!」

「ふーん、そう。まあ、暇だから嬉しいけどさ」


私の方をチラチラと見ては、勝ち誇ったような顔をして悠と楽しそうに話す美香ちゃん。私は情けない顔をして立ち尽くすことしか出来ない。


「あ。あなたは、毎日来なくていいんだからね。こういうのは親族とか、彼女とかの仕事だから」


彼女、という単語に嫌にアクセントをつけて美香ちゃんが言う。悠は彼女のそんな微妙な嫌味には気づいていないようで、私をちらりと見るだけだった。
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