何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。



それからというもの、私は毎日悠のところへと通い続けた。詩織が加工してくれたプリザーブドフラワーや、花束を携えて。

放課後に病院へ直行すると、少しの間だけ悠と2人で過ごせた。しばらくすると美香ちゃんが来て、遠まわしに嫌味を言われて、追い出されてしまうけれど。

でも、美香ちゃんは隣の市から病院へと来ているので、私よりはどうしてもお見舞いに来るのが遅くなる。その点は少しラッキーだった。

悠は、特に嫌な顔はせずに私のことを迎えてくれた。相変わらず記憶は戻らなかったので、大歓迎、という感じではなかったけれど。

そんな日が1週間ほど続いて、9月も半ばを過ぎ秋が深まってきた日。私は学校帰りに、いつも通り悠の病室に来ていた。

悠が寝ているベッドの出窓は、いつの間にか私が持ってきた花達でいっぱいになっていた。奏くんが、見栄えよく配置してくれているらしい。


「悠。今日持ってきた花も、置いておくねー」


なるべく気安い口調で私は言う。

私は悠が記憶を失ってしまったことなど、まるで気にしていないような素振りで、彼に話しかけ続けることを心に決めていた。
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