何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
ーーまあ、美香ちゃんに嫌味を言われる度にへこんでしまうのだけれど。
今日の花は、濃いオレンジのバラをメインとしたプリザーブドフラワーだ。四角い木箱に入れられたバラは、松ぼっくりや木の枝、どんぐりと共に配置され、まるで箱の中に小さな秋の森が息づいているようだった。
私を応援してくれている詩織は、毎日私に加工した花を持たせてくれた。しかも日に日に手が込んできている。
『練習になるいい機会だわー』と言う詩織には感謝しかない。今度、作り方を教えてもらおう。
悠は、私が本日持ってきたそんな小さな秋をマジマジと眺めた後ーー。
「毎日、ありがと。病院って殺風景だからさあ。花があるといいねー」
私に向かって、人懐っこそうに微笑んで、やけに親しげにそう言った。
ーードキリとした。今の笑顔と、話し方が、まるで記憶がなくなる前の悠のようで。
悠は、毎日欠かさずに顔を出す私に、次第に心を許すようになってきている気がする。
「そ、そっか。よかったよ……!」
嬉しさがこみ上げてきて、言葉が震えてしまう私。すると悠は、相変わらず微笑んでいたけれど、瞳に少し翳りを混ぜた。