何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
悠に会っていなかった期間のことはもちろん分からないけれど、あの拒絶をされた日より前は、元気が無いとか暗い顔をしているとか、そんなことは無かった気がする。

穏やかで優しくてマイペースな、いつもの悠だったと思う。もちろん、私の記憶が無いことを除いてたけれど。


「ーーそんなことない。美香の気のせいだよ」

「気のせいなんかじゃないっ! ……なんで。なんでなの!? やっぱり、あのことを考えて暗くなっているの!? ……私がずっとそばに居るから、大丈夫だって言ったじゃないっ! だから……ねえ、私をもっと、頼ってよ……! 何か悩んでることがあるなら、言ってよ!」


美香ちゃんは、とうとう泣き出してしまった。しかし悠は、俯いたまま何も答えない。

彼女の気持ちが痛いほどわかる。

悠のことが大好きだから、大切だから、悲しいことや辛いことがあったら、頼って欲しいのだ。負の感情を共有して、半分こしたいんだ。

共有されずに、部外者扱いされることが、1番悲しいんだ。

ーーそれにしても、あのことってなんだろう。事故で怪我をし、部分的な記憶喪失をした以外にも、悠には私の知らない事情があるのだろうか?

私がそんなことを考えていると。


「ーー折原さん。来てたの?」
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