何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
*悠side
「記憶、戻っているんでしょ?」
桜がはっきりとそう言った。口調こそ尋ねている感じだったけれど、その瞳には確信めいた強い光が宿っている。
傍らの美香から「ーーえ!?」と驚きの声が漏れたのが聞こえた。
桜の素振りから考えると、誤魔化しは効かなそうだった。彼女は確実に気づいている。
俺が一時失っていた彼女に関する記憶を、すべて取り戻していることに。
「どうして、分かったの?」
俺がそう言っても、桜はやはり驚いたような表情はしなかった。口を引き結んで、神妙な面持ちで俺を見つめる。美香は目を丸くしていたけれど。
「指輪のこと、だよ」
「どういうこと?」
「……悠は私に関することを全部忘れていた。そのはずなのに、昨日言ったの。『その指輪のことは覚えていない』って。私のことを全部忘れているなら、この指輪が忘れた記憶に関連するものだって、わかるはずないから」
「…………。なるほどね」
俺は自嘲気味に笑う。
ーーそう、桜の言う通り。
俺の記憶は、少し前にすべてが戻っていた。
それは、ある日桜が置いていった卵焼きを食べた瞬間だった。
「記憶、戻っているんでしょ?」
桜がはっきりとそう言った。口調こそ尋ねている感じだったけれど、その瞳には確信めいた強い光が宿っている。
傍らの美香から「ーーえ!?」と驚きの声が漏れたのが聞こえた。
桜の素振りから考えると、誤魔化しは効かなそうだった。彼女は確実に気づいている。
俺が一時失っていた彼女に関する記憶を、すべて取り戻していることに。
「どうして、分かったの?」
俺がそう言っても、桜はやはり驚いたような表情はしなかった。口を引き結んで、神妙な面持ちで俺を見つめる。美香は目を丸くしていたけれど。
「指輪のこと、だよ」
「どういうこと?」
「……悠は私に関することを全部忘れていた。そのはずなのに、昨日言ったの。『その指輪のことは覚えていない』って。私のことを全部忘れているなら、この指輪が忘れた記憶に関連するものだって、わかるはずないから」
「…………。なるほどね」
俺は自嘲気味に笑う。
ーーそう、桜の言う通り。
俺の記憶は、少し前にすべてが戻っていた。
それは、ある日桜が置いていった卵焼きを食べた瞬間だった。