何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「ねえ、ひなげし病って知ってる?」


そしてしばらくしてから、美香ちゃんがそう言った。


「え……知ってるけど……」


渉くんと実くんのお母さんが罹患している病気。発症すると、5~7年間もの間眠り続けてしまうという、恐ろしい病。

なんでいきなり、その病気の話になったのだろう。

ーーと、思った私だったのだけれど。


「それなら話は早いよ。悠はひなげし病にかかっているの。ーーもうすぐ眠ってしまうんだ」


衝撃的なことを美香ちゃんに言われ、耳を疑う私。

ーーえ。悠が、ひなげし病に……? あの2人のお母さんと同じ病気に……?

ってとは、もうすぐ長い間眠ってしまうってこと……?


「だから悠はあなたに……。辛い想いをさせないために、あなたから離れようとしたんだよ。記憶を取り戻したのにそれをあなたに伝えなかったのは、きっとそういうこと。ーー私は悠の記憶が戻っていたことに、気づかなかったけれどね」


呆然として何も言えない私だったが、美香ちゃんの言葉が心にどんどん突き刺さってくる。
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