絶対領域
あず兄は困惑しているのか、ためらっているのか、黙り込んでしまった。
「お願い、教えてよ……!」
「お望みながら、教えてやるよ」
そう応えたのは、眉間のシワをふたつ増やした、オールバックの男の子だった。
大げさなくらいむき出しにされた敵意が、頭痛をやわらげ、代わりに心臓を押し潰す。
怖い、けど。
今は。
どんなものであろうと、真実が知りたい。
「ここは倉庫だ」
「倉庫……」
「ああ。ここで争いが起こったのも、倒れてる奴も、血を流してる奴も、全部全部お前のせいだ!」
この惨劇が、全て、私のせい?
「お前が、やったんだ!!」
「っ違う!!」
どでかい否定が、響き渡った。
皆の視線が、薄い赤茶色の髪の男の子に集まる。
「この対立は……!」
一瞬、また、目がかち合った。