絶対領域



あず兄は困惑しているのか、ためらっているのか、黙り込んでしまった。



「お願い、教えてよ……!」


「お望みながら、教えてやるよ」



そう応えたのは、眉間のシワをふたつ増やした、オールバックの男の子だった。


大げさなくらいむき出しにされた敵意が、頭痛をやわらげ、代わりに心臓を押し潰す。



怖い、けど。

今は。


どんなものであろうと、真実が知りたい。




「ここは倉庫だ」


「倉庫……」


「ああ。ここで争いが起こったのも、倒れてる奴も、血を流してる奴も、全部全部お前のせいだ!」




この惨劇が、全て、私のせい?



「お前が、やったんだ!!」

「っ違う!!」



どでかい否定が、響き渡った。

皆の視線が、薄い赤茶色の髪の男の子に集まる。



「この対立は……!」



一瞬、また、目がかち合った。



< 12 / 627 >

この作品をシェア

pagetop