絶対領域
それとも、まだ私の知らない“素野万”がいるの?
「それを言うなら、悠也もだろう」
「どういう意味ぃ?」
メガネのレンズを拭くしん兄に、ゆーちゃんの目尻がつり上がる。
「自覚してないのか?」
「だからどういう意味って聞いてんのぉ!」
ジュースの紙パックを、べじゃり、片手で思い切り潰した。
うわぉ、飲み干してたようでよかった。
中にまだジュースが入ってたら、飛び散って、大惨事だったもん。
ゆーちゃんの険しい顔つきには、でかでかと「心外」と書かれている。
「今日なんかついに、鎖を持ってきてただろ?」
「く、鎖!?」
しん兄がメガネをかけながら言ったことに、目を丸くした。
鎖って、あのジャラジャラする鎖?
それをゆーちゃんが?
え、何のために?