絶対領域
頭が混乱してきた。
驚愕でいっぱいの私とは裏腹に、ゆーちゃんは「なーんだ」と拍子抜けする。
「何かと思えば、そんなことぉ?」
そ、そんなこと!?
ゆーちゃんにとって、鎖の持参はそんなことなの!?
「鎖を持ってる人なんかそこら中にいるでしょぉ?」
「いねぇよ。鎖を常備するなんて、正気の沙汰じゃねぇよ」
あず兄が即答してなければ、私が反論していた。
少なくとも、私の常識内に「鎖」の文字はない。
「僕がまともじゃないって言うのぉ?ひっど~い」
「鎖は情報よりもよっぽど危険な武器になる。物理的にな」
独り言っぽく言うバンちゃんを横目に、ゆーちゃんは頬を膨らませた。
「鎖を武器なんかにしないよぉ。僕は守るために使うのーっ!」
守る、ため?
鎖で?
どうやって?
「鎖で縛って、繋ぎとめておけば、そばを離れる心配もないでしょ~?」
「いや、それって、束縛……」
「なぁに、モエモエ」
こてん、と首を傾けたゆーちゃんが、なぜだかすごく禍々しく感じて。
これ以上失言するまい、と顔を左右にブンブン振って、黙秘権を行使した。