絶対領域





「あ、このお店って……」



ゆーちゃんが入っていったお店の前で、足を止める。


出入口の両側には、一枚のガラスを隔て、店内で売っている小物や雑貨が並べてある。



「あのオルゴールを買った店じゃねぇか」

隣であず兄が呟いた。



そう、あのおしゃれな雑貨屋さんだ。


以前はガラスの向こう側にあった、天使と悪魔を飾ったオルゴールは、もうここにはない。




脳裏では、ショパンの「別れの曲」がノイズ混じりに再生されていた。





私とあず兄はガラスに背を預けてもたれかかりながら、ゆーちゃんを待った。



今日、天気がよくてよかった。

雨や台風だったら、待ち時間が悪夢だったよ。




真っ青な空に、夕日の光が混濁していく。



まるで、オリみたいだな、なんて。

思い浮かべては、鼓動を鈍らせた。




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