絶対領域
あず兄を横目に、路地のほうに耳を澄ます。
噂話をしている2人はタバコを吸っているようで、煙が宙を泳いでいた。
「天使?ってあの噂の?」
「そうそう!あの天使!」
「最近は全然噂聞かねぇから、誰かの作り話か都市伝説なんじゃねぇかって言われてたのに……」
「なんでも、天使に偶然遭遇したら瞬殺されて、天に召されたとかなんとか」
「なんかそれ適当じゃね?本当なのかよ」
「さあ?しょせん噂だしこんなもんだろ」
路地の2人は、どちらも半信半疑。
噂を噂だとしか考えていない。
嘘も誠も、彼らにとっては、退屈しのぎの面白ネタ。
かくいう私も、暇つぶしに盗み聞きしているわけだけど。
「でも、デタラメだとしてもさ、天使の噂なんて久し振りに聞いたぜ」
「俺もー。懐かしくね?」
「それな!今じゃ、天使の噂っつったら、『この街には天使と悪魔がいる』っていうテンプレだけだしな」
「んなこと、相当疎い奴じゃなきゃ知ってて当然だよな」
つまらなそうな声色が、地面に跳ね返る。
へぇー、あの噂ってそんなに浸透してるんだ。