絶対領域
「姉ちゃん、まだ目を覚まさないんだ……」
「記憶喪失、だっけ?それ本当なのぉ?」
「本当だ。……信じられねぇけどな」
「本人が自分のことを中1だって言ってたんだ」
「中1!?それって……」
「4年前、だな」
「じゃあ、僕のことも憶えてないんだね……」
「お前だけじゃない。俺のことも忘れてた。あいつらのこともな」
「4年間の記憶がごっそり失われたってことか」
「俺らが何者かも、忘れてるだろうな」
「お、思い出してくれるかなぁ?どうしよ、このまま一生忘れられたままだったら……っ」
「めそめそするな」
「だ、だってぇ……!」
「思い出すか否か以前に、目を覚ましていないんだ。何も、できないだろ」
「……姉ちゃん、早く、目を覚まして」