絶対領域
「もうっ、バカな考えやめてよね。一回眼科行けば?」
「……褒めてるのか貶してるのか、どっちなんだ」
やだな、褒めてるよ。
つまり、あず兄はイケメンってことだよ。
他愛ない話をしている間に、路地の2人の噂話は進んでいた。
「天使と悪魔が戦ったらどうなるんだろうな」
「絶対やべぇだろ。金払ってでも観戦してぇわ。遠くで」
「遠くでかよ!」
「当たり前だろ!だって考えてみ?近くで野次馬みたく騒いでたら、100パー巻き込まれてお陀仏になんぞ」
「嫌だ、俺は死にたくない」
「だろ?あっ、待てよ……敵じゃなくて味方になる可能性もなくはねぇよな?」
「共闘ってことか?いやーでも、それはさすがになくね?天使と悪魔が組んじまったら敵なしだぜ?」
「うわ、最強じゃん」
「トップ争いが激しくなって、戦争に発展しそう。嫌だ、俺は死にたくない」
「そうなったら地獄じゃん」
ポトリ。
指から滑り落ちたタバコが、地面に転がる。
半分以上残っているタバコの先端で、チリチリと火が燃えていた。