絶対領域




楽しく、大変でもあったショッピングを終えて、私たちは東方面へ歩き出そうとした。


その矢先、



「きゃあああっ!!」



後方から悲鳴が轟いた。


な、何ごと……!?



慌てて振り返る。

そこには、背後を気にしながらこちらに走ってくる、一人の大柄な男がいた。



「どけどけ!!」


「きゃあっ」



大柄な男は、持っている鉄パイプを振り回して、周囲を脅【オビヤ】かしている。


時々、すれ違いざまにその鉄パイプで、女の子が傷ついていた。




……何、あいつ。


大通りの真ん中を占領しながら突っ走って、あげく他人を邪魔扱いして。

迷惑極まりないな。



怒気の沸点が、フツフツと上昇していく。



「おい、待て……!」



大柄な男のさらに奥のほうから、かすかに聞き覚えのある声が届いた。



私にも聞こえているのだから、大柄な男が耳の不自由な障がい者でない限り、聞こえているはずだ。


しかし、聞く耳を持たず、止まる気配がない。




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