絶対領域





「さっきだって、シュババッて全員倒しちまったし!グワッとやってて、隙なんか全然なかったし!!」



ランちゃんは八重歯を覗かせて、吠えるように自慢する。

言わずもがな、みーくんの背を離れずに。


金色の眼は、真っ直ぐ私たちを射抜いていた。



「マジですんげーかっけーんだからなっ!!」



憧れ、というか、崇拝?


ランちゃんがみーくんをすごく慕っていて、尊敬しているのは、ビシビシ伝わってくるんだけど……。



「擬音語が多すぎて、あんまりわかんなかった」


「っ!」



ごめんごめん。

雰囲気は汲み取ったから許して?


そう付け足して微笑をこぼしたら、ランちゃんは顔を真っ赤にして、あっかんべーと舌を出した。




「お、お前なんか、総長のかっこよさに気づかねぇまま朽ち果てればいいんだ、バカヤロー!!」


「そうならないよう、ランちゃんは頑張って布教活動してよ。今度からはもっと語彙力を高めて、具体的に主張したほうがいいよ。わかりにくかったから」


「っ!!」


「あ、それとも、ランちゃんの気持ちはその程度だったってこと?そっか、大したことないんだね」


「っ!!!」




ありゃ。

ランちゃんの顔が、さらに真っ赤になっちゃった。


心なしか、涙目になってる。




「そこまでにしてやれ、萌奈」


「へ?あず兄?」


「精神攻撃は矢浦姉弟の専売特許だけど、さすがにやめてあげて~。ランのメンタルはもうズタボロだから~!」


「ゆーちゃんまで……。精神攻撃って何?アドバイスのつもりだったんだけど……」




さっき2人がみーくんにしてたでしょ?


それを真似してみたんだけど、どこかおかしかった?



首を傾げる私に、あず兄とゆーちゃんは表情を失くして項垂れた。




< 169 / 627 >

この作品をシェア

pagetop