絶対領域
「さっきだって、シュババッて全員倒しちまったし!グワッとやってて、隙なんか全然なかったし!!」
ランちゃんは八重歯を覗かせて、吠えるように自慢する。
言わずもがな、みーくんの背を離れずに。
金色の眼は、真っ直ぐ私たちを射抜いていた。
「マジですんげーかっけーんだからなっ!!」
憧れ、というか、崇拝?
ランちゃんがみーくんをすごく慕っていて、尊敬しているのは、ビシビシ伝わってくるんだけど……。
「擬音語が多すぎて、あんまりわかんなかった」
「っ!」
ごめんごめん。
雰囲気は汲み取ったから許して?
そう付け足して微笑をこぼしたら、ランちゃんは顔を真っ赤にして、あっかんべーと舌を出した。
「お、お前なんか、総長のかっこよさに気づかねぇまま朽ち果てればいいんだ、バカヤロー!!」
「そうならないよう、ランちゃんは頑張って布教活動してよ。今度からはもっと語彙力を高めて、具体的に主張したほうがいいよ。わかりにくかったから」
「っ!!」
「あ、それとも、ランちゃんの気持ちはその程度だったってこと?そっか、大したことないんだね」
「っ!!!」
ありゃ。
ランちゃんの顔が、さらに真っ赤になっちゃった。
心なしか、涙目になってる。
「そこまでにしてやれ、萌奈」
「へ?あず兄?」
「精神攻撃は矢浦姉弟の専売特許だけど、さすがにやめてあげて~。ランのメンタルはもうズタボロだから~!」
「ゆーちゃんまで……。精神攻撃って何?アドバイスのつもりだったんだけど……」
さっき2人がみーくんにしてたでしょ?
それを真似してみたんだけど、どこかおかしかった?
首を傾げる私に、あず兄とゆーちゃんは表情を失くして項垂れた。