絶対領域
「だから、ありがとう」
本当はお詫びなんか要らないんだよ。
私がお礼を伝えなきゃいけなかった。
「……でも、ねぇ、ゆーちゃん。花火セット2つもあったら、全部使いきれるかな?」
「そうだねぇ、多いもんねぇ」
「えっ、2つ!?」
ゆーちゃんが袋の1つから、花火セットを取り出す。
あちゃー、とみーくんは顔をしかめた。
「私たちだけじゃ使い切れないからさ、双雷の皆も一緒に、今日花火しない?」
「……え?」
弾かれたようにみーくんの顔が持ち上げられた。
いいアイデアでしょ?
どう?
ゆーちゃんも同じ考えだったようで、口元を緩めていた。
私のお誘いに、赤いメッシュが嬉しそうに揺れる。
「うん!やる!花火、楽しみ!」
「それじゃあ各々パトロール後に、西側の倉庫に集合ね」
「わかった!」
西側にある倉庫は、神亀のたまり場よりサイズが小さいが、いくつも立ち並んでいる。
時々不良がたむろしているけれど、そこを除けば人気のない場所だ。
あそこでなら、思う存分花火をやってはしゃげる。
「じゃあ、またあとでね」
「またな!」
約束を交わし、今度こそ東方面へ歩いていく。
夕日が、沈む。
照らされた行方を、星に託して。
影だけを色濃く、濁らせていた。