絶対領域




「だから、ありがとう」



本当はお詫びなんか要らないんだよ。

私がお礼を伝えなきゃいけなかった。




「……でも、ねぇ、ゆーちゃん。花火セット2つもあったら、全部使いきれるかな?」


「そうだねぇ、多いもんねぇ」


「えっ、2つ!?」



ゆーちゃんが袋の1つから、花火セットを取り出す。


あちゃー、とみーくんは顔をしかめた。



「私たちだけじゃ使い切れないからさ、双雷の皆も一緒に、今日花火しない?」


「……え?」



弾かれたようにみーくんの顔が持ち上げられた。


いいアイデアでしょ?

どう?


ゆーちゃんも同じ考えだったようで、口元を緩めていた。



私のお誘いに、赤いメッシュが嬉しそうに揺れる。



「うん!やる!花火、楽しみ!」


「それじゃあ各々パトロール後に、西側の倉庫に集合ね」


「わかった!」




西側にある倉庫は、神亀のたまり場よりサイズが小さいが、いくつも立ち並んでいる。


時々不良がたむろしているけれど、そこを除けば人気のない場所だ。



あそこでなら、思う存分花火をやってはしゃげる。





「じゃあ、またあとでね」

「またな!」



約束を交わし、今度こそ東方面へ歩いていく。




夕日が、沈む。

照らされた行方を、星に託して。


影だけを色濃く、濁らせていた。





< 173 / 627 >

この作品をシェア

pagetop