絶対領域
欠けた月の下。
漂う閑散と、踊る閃光。
流れ星を慈しむ、夜の帳【トバリ】。
月明りだけじゃ、鮮やかな髪色も霞んでしまう。
「わあ~!」
「見て見て!綺麗だよ!」
神亀と双雷が合流して、準備はオーケイ。
端の倉庫の正面で、花火開始。
一番最初に花火に火を付けたのは、花火セットの元々の持ち主である、ゆーちゃんとみーくんだ。
ここ、西側の倉庫は、双雷のたまり場から近い。
一列に並ぶ倉庫のうちの一か所に、見知らぬ不良たちが集まっていたが、神亀と双雷の皆が強引に追い出した。
そのため、現在この場には、私たち11人しかいない。
「花火なんて久々だな」
「何年振りだ?」
あず兄としん兄も、それぞれ花火を1本ずつ持った。
「ライター、いかがかな?」
「お、サンキュ」
オウサマがあず兄としん兄の分の花火を点火させた。
ちなみに、そのライターは、追い出した不良たちが置いていった物を拝借している。
「凰さん、こっちにも付けてもらっていいですか?」
「オフコース。もちろんだ」
ゆかりんの頼みを承諾し、オウサマが移動しようとすると。
「凰、待った!俺が先だ!」
「いいや、凰さん!お、俺の先に付けろ!」
いがみ合っているせーちゃんとランちゃんが、オウサマの前に立ちはだかった。
ランちゃんの体は、右半分、ゆかりんの背に隠している。
2人は何を競っているの……。
「紫氏、さ、花火をプリーズ」
「……え、あ、はい」
オウサマは華麗に2人をスルー。
ゆかりんの花火に、ライターを近づけた。