絶対領域
「萌奈!こっち見て!」
「え?……わっ」
花火セットから初めはどれにしようか選んでいたら、みーくんに呼ばれて、振り返る。
みーくんは少し後ろで手を動かして、花火でハートを描いた。
勢いよく放たれる輝きは、一瞬で宙に溶けてしまったけれど、瞳にはいつまでも焼き付いていた。
「へへっ、どう?ハート、ちゃんと見た?」
「うん、見えたよ。綺麗だった!」
もうちょっと距離が近かったら、危なかった。
本当は、年上として、そう注意しないとなんだけど……。
みーくんの無垢な笑顔を見たら、素直な気持ちがあふれてしまった。
「な、何がハートだよ!危ねぇだろうが!」
せーちゃんが私とみーくんの間に割り込んで、私の代わりに戒めてくれた。
「あはは!可愛いことするね」
「我がリーダーは、相当萌奈氏を気に入ってるようだ」
その横で、バンちゃんとオウサマが微笑ましそうにしていた。
しゅるる、とみーくんの花火が勢いを失くしていく。
瞬く間に光はしぼんで、黒ずんだ。
「そういえば、初対面の時から、翠は姉ちゃんに懐いてたよな?なんで?」