絶対領域




ヘーゼル色の双眼を怪しげに尖らせる。



……あ、今絶対、せーちゃんの思考回路はシスコンなことでいっぱいだ。


恋愛沙汰で私にアプローチしてくる異性を片っ端から潰していくスタイル、そろそろ卒業してほしい。





「憧れの人に、似てたんだ」




せーちゃんの刺々しい態度を、露ほども気にせずに。

みーくんはいつになく穏やかに、呟いた。



「……憧れの、人?」


「そっ!昔、俺を助けてくれた人。その人と重なって見えたんだ」



おもむろに2本目の花火を選び、ゆっくり振り向く。


漆黒の瞳で、私を捉えた。




「萌奈の、回し蹴りした姿が!」


「……はい?」




瞳に映る私は、間の抜けた表情をしていた。


せーちゃんも、他の皆も、表情筋が固まっている。



ただ一人、みーくんはいつものキラキラビームを私に送っている。

うん、今日も眩しくて痛い。




ま、回し蹴り?

それに似てるとかあるの?


ていうか、そんな理由で懐かれてたんだ。




「憧れの人と同じくらい、萌奈も強いし!かっこいいし!可愛いし!それに、強いし!」



強い、2回言ったね。

否定はしないけど、強調もしなくていいんじゃないかな。



「で、でも、私はその憧れの人じゃないよ?」


「それでも!」



花火を片手に、ズイッとみーくんが迫ってきた。


顔、近い……!

みーくんの勢いに圧倒されて、背筋が反った。



< 178 / 627 >

この作品をシェア

pagetop