絶対領域
ヘーゼル色の双眼を怪しげに尖らせる。
……あ、今絶対、せーちゃんの思考回路はシスコンなことでいっぱいだ。
恋愛沙汰で私にアプローチしてくる異性を片っ端から潰していくスタイル、そろそろ卒業してほしい。
「憧れの人に、似てたんだ」
せーちゃんの刺々しい態度を、露ほども気にせずに。
みーくんはいつになく穏やかに、呟いた。
「……憧れの、人?」
「そっ!昔、俺を助けてくれた人。その人と重なって見えたんだ」
おもむろに2本目の花火を選び、ゆっくり振り向く。
漆黒の瞳で、私を捉えた。
「萌奈の、回し蹴りした姿が!」
「……はい?」
瞳に映る私は、間の抜けた表情をしていた。
せーちゃんも、他の皆も、表情筋が固まっている。
ただ一人、みーくんはいつものキラキラビームを私に送っている。
うん、今日も眩しくて痛い。
ま、回し蹴り?
それに似てるとかあるの?
ていうか、そんな理由で懐かれてたんだ。
「憧れの人と同じくらい、萌奈も強いし!かっこいいし!可愛いし!それに、強いし!」
強い、2回言ったね。
否定はしないけど、強調もしなくていいんじゃないかな。
「で、でも、私はその憧れの人じゃないよ?」
「それでも!」
花火を片手に、ズイッとみーくんが迫ってきた。
顔、近い……!
みーくんの勢いに圧倒されて、背筋が反った。