絶対領域
伏し目がちに、シャッターのほうを一見する。
辺りが薄暗くて、オリが今どんな表情をしているのか、よくわからなかった。
“あの時”、私とあなたは、ずっと一緒にいた。
あの時間は、今でも、かけがえのない宝物。
「いろいろ、教えてもらったの。大切な人を守れるくらい、強くなりたくて」
きゅっ、とスカートの裾を握った。
この手は、まだ、弱くて。
強くなりたくても、結局傷つけて、傷つけられた。
本当は、鮮血と涙で濡れたこの手のひらで、あなたを抱きしめたい。
それができないのがもどかしくて。
近くて遠いあなたへの想いが、募っていくだけ。
『強くなりたい。どんなことがあっても、あなたを守れるように』
ねぇ、オリ。
憶えてる?
あの言葉は、今でも、私の心に在るよ。
「萌奈はもうすごく強……」
「た、大切な人!?」
「誰だそいつは!男か!?」
……あのさ、せーちゃん、あず兄。
私はともかく、みーくんまで遮らないで。
ほら、みーくんが2人の迫力に圧倒されて困ってるでしょ。
「2人には関係ないでしょ」
「男なんだな!どこのどいつだ……!」
「あずき兄さん、そいつ突き止めて消しに行くの、手伝うよ」
ツンとしても、2人には効かない。
聞いてもくれない。
目の色を変えて、物騒な会話しないで。