絶対領域
「他の皆は?」
「お、俺は、総長に……」
「憧れて、でしょ。うんわかってる」
「おい!雑に流すんじゃねぇよ!!」
いつの間にかゆかりんからみーくんの後ろへと移動していたランちゃんが、おずおずとみーくんの肩から顔を出す。
が、なんとなく想像つくから、割愛。
「しん兄は?」
「俺は!俺を助けてくれた総長に憧れて!総長を追いかけて、双雷に入ったんだ!!」
割愛したつもりが、無理やり打ち明けてきた。
総長愛が強いのか、なんなのか……。
不良になったきっかけが、みーくんとそっくりなのは、偶然?
憧れを抱いたみーくんが、今度はランちゃんに憧れをもたらした。
……なんて素敵な繋がりだろう。
「蘭次郎のすごいところは、元から強かったところだよな!」
「イエス。蘭次郎氏の実力は、入団した数日後に、幹部に抜擢されたほどだ。いわば、期待のスーパールーキーなのだよ」
みーくんとオウサマ――双雷の総長と副総長に褒められて、ランちゃんは照れ臭そうに身を縮めた。
2人が絶賛するなんて、相当強いんだろうな。
せーちゃんよりひとつ年下の中学生なのに、すごいな。
そんな力を持ってるのに、みーくんが助けに入らなきゃいけなかった状況って……。
一体何があったんだろう。
「だがしかし、我々も蘭次郎の苗字は知らぬのだ」
「えっ、双雷も知らないのか!?」
バンちゃんが花火をしながら、驚きを口にする。
「ランちゃん、なんで教えないの?いや別にさして興味もないんだけど」
「きょ、興味ねぇなら聞くなっ!」
ちょっとショック受けてる……?
でも、本心だしなぁ。
名前か呼び名がわかれば、コミュニケーションは取れるし。
「……苗字まで教えちまったら、プライバシー侵害されそうで怖ぇじゃねぇか」
ボソッ、と独白したのが、たまたま聞き取れてしまった。
理由が意外だ。
そっかそっか。ネット怖いんだね。警戒してるんだね。
せーちゃんとは違う、弟っぽい可愛さに気づいてしまった。
なでなでしてあげたい。