平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 その男も地面に倒れ込み、頭を押さえる。

「お、おい!」

 最後のリーダー格の男は、見たこともない武器で戦う桜子に恐れをなしたが、ここまで来たら引けない。娘は華奢だ。

 懐に飛び込んで押し倒せば、娘の動きを封じ込められると、じりじりと距離を詰めようとした。
 
 そんな男の動きは桜子にしてみれば隙だらけだ。桜子は竹刀を横に振り、男の胴に一撃を食らわした。
 
 今は痛みに呻いている男たちだが、痛みがなくなればまた襲われる。そう思った桜子は、力いっぱい三人の男たちに次々と面を入れていき、気を失わせた。
 
 男たちが土の上に延びるのを見て、桜子は「ふぅ~」と脱力した。

「竹刀があって、よかった……でも、どうしてこんなにリアルなの?」

 まだ夢だと思っている。しかし、草や土の匂いがわかるし、空は抜けるように青く、ダッフルコートの前をはだけた状態で着ている桜子の顔は、暑さで汗が噴き出ている。

 桜子は手の甲で額を拭う。

「汗……濡れている……これって、本当に夢なの……?」

 しかし、夢でなくてなんであるというのだろう?

 そこへたくさんの足音が桜子の耳に入ってくる。

 ビクッとして、足音のしたほうへ振り返ると、深緑色の制服を着た男たちがやってくるのが見えた。やはり肌が浅黒い。

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