平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「よかった。座ろう。サクラにおかえりなさいと言ってもらうのはいいな」

 ディオンに腰を下ろすように勧められたときだった。乱暴に廊下側の扉が開き、黒い服を着た男ふたりが入ってきた。

 黒ずくめの男たちは剣を持っており、先端から血がしたたり落ちている。

 桜子は驚愕して、その場に固まる。忍者のように目だけを出した侵入者は、鋭い目つきでディオンを見た。

「サクラ!」

 ディオンは桜子が見たこともない俊敏な動きで、彼女の前に立つ。

「逃げろ。あの者たちは私が目的だ」
「でもっ!」

 ディオンの背にかばわれている桜子だ。本物の剣は初めて見る。しかも血がついている。誰か宮殿の者がやられたのだろう。

 桜子は腰が抜けそうなくらいに怖かったが、このままでは自分たちも殺されてしまう。

 ディオンより戦えるのではないかと、桜子の脳裏に考えが巡った。

 その間にも黒ずくめの男たちは、ディオンを切りつけようと剣で襲いかかる。

「っ!」

 ディオンは桜子を背に、剣を避けながら扉のほうへ移動する。そして、桜子は扉のほうへ突き飛ばされた。

「ディオンさまっ!!」

 桜子から離れ、武器を持たないディオンは、剣を素早い動きでかわしている。

 テーブルに用意された料理が床に散らばる。


< 113 / 236 >

この作品をシェア

pagetop