平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 その無駄のない動きを、恐怖と戦いながら必死な桜子は不思議にも思わず、助けなければと思った。

(私なら出来る! なにか棒は……)

 実際の剣と交えたことはないが、ディオンを助けなければならないと必死の気持ちが湧き起こる。

「サクラ! 早くしろ!」

 この部屋には武器はなく、ディオンは桜子を逃がすことだけしか考えられない。

 桜子に気を取られているディオンに、侵入者が剣を振り下ろす。

「きゃーっ!」

 ディオンの危機に桜子は叫んだ。ひらりとディオンは剣をかわす。

 しかし、次から次へとディオンを襲う黒ずくめの男たち。

(私が戦わなければ、ディオンさまが殺されてしまう!)

 桜子の背に、今は使われない暖炉のようなものがあり、その横に置かれた火かき棒が目に入った。火かき棒は鉄製ではなく、木刀のような木だ。

 剣道には、木刀を使った剣道基本技稽古法演武というものがあり、桜子も小さい頃からやっていた。

「サクラ!? 早く逃げろと! っ! なにをしている!?」

 火かき棒を手にして、黒ずくめの男の背後へ回った桜子に、ディオンは驚く。

「やーっ!」
「サクラ!」

 桜子は思いっきり、敵の頭に火かき棒を振り下ろした。見事、黒ずくめの男の後頭部を叩き、敵の動きが止まる。
 
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