平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 続いて桜子は男の首に火かき棒を思いっきり振った。桜子の攻撃を受けた男は、ガクッと膝から崩れる。
 
 ディオンに剣を向けていた男は、相方を倒され、剣を桜子に向けて襲いかかろうとした。

「サクラ!」

 男の剣が、防御する桜子の火かき棒を弾き飛ばした。

「きゃっ!」

 ものすごい力に、桜子は床に転がされる。

 ディオンは素早く火かき棒を手にして、桜子の前に飛び出した。すんでのところで、桜子を襲う剣を火かき棒で防ぐ。

「殿下っ!」

 そこへラウリとニコが血相を変えて現れ、黒ずくめの男と剣を交え始めた。衛兵らもディオンと桜子を守るため、ふたりの周りをぐるりと囲んだ。

「サクラ、怪我は!?」

 床に飛ばされたりしたせいで、打ち身はあるかもしれないが、今はどこも痛くない。ディオンのほうが心配である。

「ディオンさまはっ、大丈夫ですか!?」

 桜子はそっと立たされた。そこで衛兵の壁がなくなり、ラウリとニコがディオンの前に膝をつき、首を垂れる。

「殿下。遅くなり、申し訳ありませんでした」

 ラウリとニコが遅れたのは、衛兵数人が何者かに殺されたと報告を受けたからだ。

「殿下のそばを離れるべきではありませんでした」

 謝罪するふたりの向こうに、黒ずくめの男ふたりが床に倒れていた。その周りに毒々しい血が広がっている。


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