平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「サクラさま、履き物を召しませんと!」
「う~ん……動きづらいし、本来、剣道は裸足だから。これでいいわ!」

 ザイダが顔を顰めて「お怪我をなさいます」と言っているが、桜子は気にせずに部屋を出た。

 そのまま駆け足でニコがいる場所へやってくる。彼は直立不動で桜子を待っていた。

「お待たせしました! お願いします」
「お願いします。……ええっ、裸足でございますか? それに、こちらへ来られたときの服……」

 ニコはスカートから急いで視線を外す。

 この国の女性たちの衣装は、みな膝より長い。姫や桜子が普段着ているものは地面すれすれの長さである。それが、今の桜子のスカートは膝頭が見える。こちらの常識からいえば、かなり短い。

 その短いスカートから、スラリと長い足が見えているのだ。ニコが目を逸らすのも無理はない。

「その格好では……」
「平気よ。これじゃないと動きづらいもの。お願いします!」

 桜子は竹刀を身体の前でかまえて、ニコを見つめる。

「殿下に叱られそうですが……」

 ニコは仕方なく、鞘に入ったままの剣をかまえた。

 竹刀を振るのは一ヵ月半ぶりだ。肩は痛くないが、竹刀が重く感じられた。

(なまっちゃったな……)

 それでも、ニコに向かって竹刀を振る。

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