平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 そして二日後。ディオンはイアニスたちと共に皇都へ向かった。早馬では一時間半ほどで到着する。
 
 アシュアン宮殿が急にガランとして、寂しい気持ちになる桜子だ。

 部屋でぼんやりしている桜子の元へ、カリスタが慌てた様子でやってきた。

「こんなときに困ったよ……」

 桜子の顔を見て、開口一番に発せられた言葉だ。

「どうしたんですか?」

 桜子は首を傾げる。

「サクラ、お前さんがイヴァナ皇后に呼ばれたんだよ」
「イヴァナ皇后って……皇帝の……」
「ああ。ダフネ姫の叔母上さ。嫌な予感しかしないよ。でも行かなければ、無理に連れていかれかねない……ディオンさまは皇都……しかし会えないだろう」

 カリスタはこの状況に狼狽している。

「無理に……会いに行くしか選択肢はないのですね?」
「……ああ。私も一緒に行くよ。念のためエルマも同行させよう」

 カリスタは不安でいっぱいだった。桜子を無事にここへ連れ帰ってこなくてはならない。

「ザイダ、サクラの一番の衣装を用意しとくれ」

 行くしかないと覚悟を決めたカリスタは、ザイダに指示を出した。

「カリスタ、手土産はいらないのですか?」

 初めて会うイヴァナ皇后に、失礼があってはならないと思った桜子は聞いてみる。

「手土産とは……?」
「お邪魔するときに、お菓子や果物を持っていったりするの」
「それなら必要はないよ」

 そこへザイダが桜子の一番いい衣装を持ってきた。そうはいっても、桜子は必要以上に華美なものを好まない。ザイダが抱えているのは、シンプルな薄紫色の衣装である。

< 161 / 236 >

この作品をシェア

pagetop