平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「本当に呼ばれているのです。確認してきてくださいませんか?」

 門前払いをされる予測はしていなかった。大雑把な計画だけで無我夢中だったせいだ。

「そんなことで聞きに言ったら、俺たちが首をはねられる!」

 衛兵は恐ろしいとばかりに身を震わせてから、バカにしたように笑う。

「ほら。帰れ、帰れ!」

 手を振りはらう仕草で、ここから去るように言われた。

 これ以上いると、衛兵の腰に提げている剣で切られそうだ。桜子は少し離れて考えようと、馬を引いて歩き出した。

「待て!」

 別のところにいた衛兵が走ってくる。

「その布を取れ!」

 髪の色を隠すために巻いていた布のことだ。桜子は髪に巻いた布をパサリと外した。

「お前を見たことがある。アシュアン領のディオン第三皇子と一緒にいた娘だ」
「そうです! ルキアノス皇帝から会いたいと書簡が届いたのです」

 話がわかる者の出現に安堵して、桜子は説明した。

「ちょっと待っていろ」

 衛兵は近くにいた同僚に声をかけ、宮殿の中へ入っていった。

 出来ることなら、騎乗してここから全速力で離れたかった。それをしないのは、ディオンやアシュアン領のためだ。

(ディオンさま、今頃……)

 お昼を過ぎている。女官か誰かに起こされたか、薬の効果が切れて、目を覚ました頃かもしれない。


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