平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 まっすぐ進んだ先の長椅子に、ルキアノス皇帝が座っていた。桜子は挑むような目つきでルキアノス皇帝を見つめる。

「ほう……そんな目で見る女は、今までいなかったな」

 ルキアノス皇帝は楽しそうな顔つきになった。

「そして美しい。お前は男三人を長い棒で倒したとか?」

 アシュアン領のことを知っているルキアノス皇帝はやはり、息のかかった者を宮殿に送り込んでいたのだと確信した。

「男三人が弱かったからです」

 そう言うと、ルキアノス皇帝は高らかに笑い始める。

「私も弱いぞ?」

 意味がわからないことを話され、桜子は押し黙ったのち、口を開く。

「なぜ私を呼んだのですか?」
「お前に会ってみたかったからだ。ディオンは、私がお前をここへ呼んだために誤解したようだな。昔話をしようか。そこに座れ」
「えっ?」

(どういうことなの……?)

 桜子は困惑しながら、座れと言われた赤いクッションの上に腰を下ろした。

「わしは 前皇帝の側近だった。妹である皇女と、愛のない結婚をした。わしが愛していたのは、ディオンの母・アラーラ皇妃だった」

 ルキアノス皇帝は昔を懐かしむような遠い目になる。

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