平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「お前は他の女にはない強い心がある。異国の娘だが、ディオンもお前を愛しているようだ」

 ルキアノス皇帝は満足げに頷いた。

「あの、どうしてディオンさまに皇帝の座を譲るのですか?」
「こう見えても、もう身体にガタがきているのだ。わしは疲れた。すべてをディオンに返し、ゆっくりしたい。その前にディオンの許しが必要だがな」
「許し……?」

 桜子は聞いてばかりいるが、ルキアノス皇帝はしっかり答えてくれる。その様子は肩の力が抜け、楽しんでいるようにも見える。

「不可抗力だったとはいえ、ディオンの父を殺した罪だ」
「あ……」

 ルキアノス皇帝に憎しみを抱いていたディオンだ。桜子には彼がどう思うかわからない。

「イヴァナは罪を重ねていた。ディオンに処分を任せる」

 そこで桜子は思い出した。

「ディオンさまは誤解しています! 皇帝が、刺客を送っていたと思っています。それに、皇帝は私を側妃にしようと……早く知らせないと!」

 にわかに扉の外が騒がしくなった。そこへ乱暴に扉が大きく開き、剣を持ったディオンが入ってきた。

「サクラ!!」

 背後にラウリとニコもいる。

(まさか……三人だけで、乗り込んできたの……?)

 ディオンの桜子への愛はそれほど強いものだった。

 桜子は信じられない思いで、茫然としたままディオンの元へ行き、抱きついた。

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