平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「ありがとうございます……制服を……ブレザーを脱がして……」

 桜子はおそらく捻挫した腕の痛みを和らげてくれることにホッとした。

「制服? ブレザー?」

 イアニスが首を傾げる。

「これ……です」

 ダッフルコートは先ほどの男たちに脱がされてしまったが、紺色のブレザーの制服は着ている。しかし、冷やすとなればブレザーは邪魔だろうと桜子は考えた。

 まるでサウナのような温度で、不快指数は百パーセントで、桜子は汗がびっしょりかいており、ブレザーを脱ぎたかった。

 ニコが桜子のブレザーを脱がす。乱暴に脱がされるかと身構えてしまったが、思いのほか、優しい。

 ブラウスとスカートだけになった桜子は少しだけ暑さが和らぎ吐息を漏らす。そこで桜子はハッとなる。

(もしかして、患部を冷やすってことだよね? ってことは脱……ぐ……?)

 そこへ警備兵が命令されたものを持って現れた。

「あ、あの、冷やさなくても平気です!」
 
 本当はすぐに冷やした方がいいのだろうが、この状況でブラウスは脱げない。

「お前、殿下のご厚意を!」

 ラウリが憤慨し、桜子に詰め寄る。

「ご、ご厚意はありがたく……でもっ、ブラウスは脱げませんっ!」

 桜子は胸元を左手で抑え、必死に首を横に振る。


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