平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「サクラ? 行くよ」
「あ、はいっ!」

 歩き出したカリスタの後を追う。

 渡り廊下から少し行った先がディオンの談話室で、いつも楽器を奏でている部屋だと教えてくれる。

(近かったから聴こえたのね)

 そこへカリスタが教えてくれた談話室から、心地いい音色が聴こえてきた。

 ふいに立ち止まったカリスタは顔を顰めてから、その先にいる女官三人に近づく。

「お前たち! いつもサボりおって! お前たちのためにディオンさまは弾いているんじゃないよ」

 女官たちは、ディオンの奏でる音楽に聴き入っていたのだ。

「カリスタさま! 申し訳ありませんっ!」

 彼女たちはカリスタに頭を下げて、急ぎ足でその場から立ち去った。

「まったく。あの子たちときたら、用もないのにディオンさまの近くに来ようとするんだから」

 カリスタはぶつぶつ文句を言いながら、桜子の元へ戻ってくる。

(ディオンさまは女官たちに人気があるんだ。無理もないか、あの美しさだし……)

 そこへ――。

「カリスタはいつも私の客を追いはらう」

 いつの間にか音は消え、五メートルほど先にある部屋の窓辺にディオンの姿があった。

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