平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 肩に力が入っていた桜子は「はあ~」と虚脱する。

 桜子は立ち上がり、窓に近づく。ディオンの言ったとおり、外は暗くなってきていた。遠くで光と雷鳴が小さく聞こえてくる。

(また雷か……)

 ここへ来てから、三日に一度はある雷雨。しかも今まで経験したことのないほどの激しさ。

(落ちたことがないんだし、大丈夫。いい加減慣れないと)

 桜子は窓から離れて、寝台の端に腰を下ろした。

 少しして、エルマが女官を従えて部屋に戻ってきた。テーブルの上にお茶のセットが並べられた。

「ありがとうございます」

 桜子はふたりにお礼を口にした。
 

 ――ゴロゴロゴロ……。

 地鳴りがするような雷に、桜子は肩を跳ねさせた。その瞬時、ドドーン!と足元が揺れるくらいの最大級の雷が。

「キャーッ!!」

桜は耳を塞いで、窓から一番遠い寝台の奥側へ移動し、膝を抱える。

(今日はいつにも増して激しいんだから……どこかに落ちていたりして……)

 早く去ってほしいと、怖さに暴れる心臓を落ち着かせようと呼吸を整える。

「やはり雷が怖いのか」

 ディオンの声がして、 桜子は驚く。寝台の柱から垂れる美しい薄布がめくられ、ディオンが顔を覗かせた。


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