平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「……ディオンさ……ま……」

 どうしているのか、ポカンと呆気に取られていると――。

 ――バリバリバリ!

 天が雷によって裂かれるような猛烈な音に、桜子は叫び声を上げた。

「キャーッ!」

 その場から動けない桜子は、さらに小さく身を縮こませる。そこへ、桜子の隣にディオンが座った。そして桜子の頭を自分のほうへ引き寄せ、抱きしめる。

 それから気持ちを落ち着かせようと、髪を撫でる。結んでいたゴムが外され、黒髪がサラリと肩に落ちてくる。
 
 しかし雷が怖い桜子は、ゴムが外されたのに気づかない。
 
 ――バリッ! ドドーン!
 
 まるで頭の上から聞こえるような雷に、桜子は身をすくませた。ディオンには怖がっていることを悟られないようにしているつもりだったが。

「まったく……そなたは……弱いところを見せてもいいんだ」
「ディオンさま……」

 優しいアメジスト色の瞳は、いつもより温かみがある。

「いつも雷が鳴るたびに、サクラの叫び声が聞こえていた。慣れると思っていたら、もっと怖がって……」

 ――ドドドーン!!

 また激しい雷鳴だ。

 ディオンが隣にいてくれるせいか、桜子は叫ばずに済んだ。

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