平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「警備兵たちの悪ふざけで、戦いを挑まれたそうです」
「なんだって!?」

 ディオンは桜子を心配し、鍛錬所へ走る。イアニスとニコもだ。

(サクラ、無事でいてくれ!)

 警備兵が悪ふざけをしているとはいえ、猛者たちである。桜子に怪我をさせているのではないかとディオンは焦った。

 鍛錬所が見えた。

 いつも気合の声が聞こえてくる鍛錬所は不気味な静かさだ。

(まさか!)

 ディオンの脳裏に、地面に倒れている桜子がよぎる。

「サクラ!!」

 焦りの表情を見せるディオンが鍛錬所の入り口に立った。イアニスもニコもディオンの横に立つ。イアニスは駆けてきたせいで荒い息を吐いている。

 三人の目に映ったのは、鍛錬所の中央でディオンの姿に驚く桜子と、彼女の前で倒れる警備兵や、痛みに顔を歪めている者たちだった。

「ディオンさま……」

 こんなところを見られ、桜子は驚きの顔から気まずい表情に変わる。

 ディオンは周りの警備兵に鋭い視線を向けながら、桜子に近づく。

「この者たちをサクラひとりで?」
「ま、まあ……」

 桜子に怪我はないか、ディオンは剣を彼女の手から取り、それをニコに投げる。

「怪我はないのか……?」
「は、はい。ないです」

 怪我がないと聞いて、声を上げたのはイアニスだ。

「やはり術師なのですね!?」
「ち、違いますっ!」

 桜子はプルプル頭を左右に振り、不安そうにディオンを見る。

 そのとき、ディオンの前にわき腹を押さえながらグレッグが膝を着いた。

「殿下、この者は術師ではありません。信じられないくらいに強い娘です」

 グレッグの言葉に、桜子はホッと安堵した。

「そなたたちの怪我は?」
「わたしどもの怪我はたいしたことはありません」

 そう言ってグレッグは頭を垂れた。

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