平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 見物していたディオンの身体がピクッと前へ出るが、すぐに身体を起こした桜子に安堵しその場に留まる。

「っう……やっぱり強い……でも、これで負けるなんて嫌」

 警備兵たちには大怪我をしないように考えて打ち込めたが、ニコにはそうも言っていられない。

 桜子は剣をニコに向けて振り下ろす。ニコが桜子の剣を避ける。それが何度も続き、疲れが出始めた桜子は肩で息を吐き始めた。

「はぁ、はぁ……」

 逆にニコはまったく息切れもせずにいる。

「めーん!」

 桜子は剣を竹刀のように振り下ろした。ニコはその剣を剣で防ぐが、足が後退した。

「そこまで! もういい。サクラ、疲れただろう。そなたは素晴らしい」
「ディオンさま……」

 ニコは黙ったまま桜子の持っていた剣を預かる。ニコは内心手加減をしたとはいえ、互角に戦う桜子に驚いていた。

 否、ここにいる者すべてが桜子の戦い方に目を奪われていた。


 部屋に戻った桜子は久しぶりに身体を動かしたこともあり、疲れていた。寝台の端に腰を下ろし、大きくため息を吐いた。

(術師じゃないことはわかってもらえたみたいだけど……ディオンさま、警備兵たちを倒したわたしに引いていた気がする……)

 途中まで一緒に戻り、後宮の入り口まではニコが送った。


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