平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 全員が言葉を話さなかった。

「やり過ぎちゃったかな……」

 久しぶりのうかうかしていたらやられてしまう緊張感と、戦いのキリッと身が引き締まる感覚に、達成感はあった。

 そこへカリスタがやって来た。

「サクラ! すごいことをしたそうじゃないか!」

 カリスタは冷たい葡萄のジュースとみずみずしいプラムを桜子に食べさせようと手にしている。

「すごいことでは……」
「いやいや、すごいよ! 我が警備兵の弱さに、これからニコとラウリは彼らをしめるそうだよ」

 窓際の椅子に腰を下ろしたカリスタは愉快そうだ。

「しめる……?」
「活を入れるってことだよ」

 桜子はラウリとニコの活の入れ方を想像してしまい、警備兵たちが気の毒になった。

「さあさ、早くお飲み。喉が渇いているはずだよ」
「……いただきます」

 桜子はカリスタの前の椅子に座り、新鮮な葡萄ジュースを飲んだ。


 翌日、カリスタとの勉強が終わり、桜子は身体を動かしたくて宮殿の庭を歩いていた。
 
 毎日がいい天気で、ここ一週間は雷雨になっていない。
 
 宮殿の庭は見たこともない花があちこちに咲いており、桜子を楽しませてくれる。この世界は元の世界と類似しているものがたくさんあった。

 特に食べ物や動物はまるっきり同じである。
 
 その点から、桜子は異世界トリップなのか、過去へタイムスリップしてしまったのか、わからないでいた。自分が歴史で勉強していない国や、現代に知られていない埋もれてしまった国もあるかもしれない。

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