エリート御曹司は獣でした
私としては、今年に入って最大の自慢話のつもりであったのだが……。

一瞬の沈黙の後に、乗友さんたちがプッと吹き出した。

「自慢が肉鍋ですって!」と、馬鹿にされてしまう。

嘲るような彼女たちの大きな笑い声は、周囲の社員たちの注目を集めてしまい、あちこちから視線を感じた私は、急に恥ずかしくなる。


あれ……。

ファッションセンスはないけれど、肉のことなら感心してもらえると思ったのに、自慢するものを間違えた……?


掲げていたスマホを力なく下ろしたら、「それ見せて!」と声がして、男性社員ふたりが近づいてきた。

私と同じ第一課の二十代の先輩社員だ。

肉タワー鍋の写真に「すごいな」「うまそう!」と興奮してくれた彼らにつられ、これから外出しようとしている人や、訪問販売のお弁当を手に自席に戻ろうとしていた人たちが集まってきて、私の周囲は一気に賑やかさを増した。

私のスマホは社員たちに回されて、皆が驚きと美味しそうだという感想を口にする。

肉タワー鍋について盛り上がる中、第一課の先輩社員が、私が定期的に開催している肉パーティーについて話しだした。
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