エリート御曹司は獣でした
「え……八重子ちゃんの仕業なの?」

「はい!」


犯人を暴いてやると意気込んでいたのに、あっさりと判明し、私は怒りをぶつけるよりもキョトンとしてしまう。

ど天然の八重子ちゃんがいたずらを企むことはないと思い、真っ先に犯人から除外していたので、意表を突かれた心持ちでもある。

香織と綾乃さんも同じ気持ちのようで、予想外の犯人に目を瞬かせていた。


「ちょっと待って……チョコレートと緑茶、クッションカバーも?」


戸惑う私の問いかけに、「はい、全部私がやりました!」と八重子ちゃんは、一切悪びれずに笑顔で白状する。

それから何食わぬ顔をして、私の斜め向かいのいつもの席に座った彼女は、急になにかに気づいたように「あっ……」と声を漏らした。


「内緒でやりなさいって言われてたんだ。すみません、私がサプライズを仕掛けたこと、忘れてもらえませんか?」

「聞いちゃったからね。それは無理だよ……」


呆れて私の頬が引きつるが、「誰に指示されたのかな?」と努めて優しく問いただす。

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