エリート御曹司は獣でした
それにはホッとするところだが、乗友さんに対しては怒りが湧き上がる。


“素敵な驚きを与えてくれる相田さん”だって。

それって、会社での私の行動を観察し、久瀬さんに近づく私にハラハラしていたという意味だろうか。

“相田さんを笑顔にさせましょう”と言って八重子ちゃんをそそのかしたようだけど、乗友さんが見たいのは、一連のいたずらを気味悪がって怯える私の泣き顔でしょう。


嫌がらせをした動機はもちろん、目障りに感じたからだろう。

いや、もしかするとそれ以上に、恨みに似た感情を持っているのかもしれない。


ひと月ほど前の、肉タワー鍋パーティーの参加申し込みを断ったことを、ずっと根に持っていたのだろうか。

それとも、肉パーティーの翌週の、久瀬さんとのステーキハウスデートを知られてしまった可能性もある。

休日明けに出勤した久瀬さんを捕まえて、『一昨日は肉に夢中で会話ができなくてごめんなさい!』と謝った時、近くの通路を乗友さんが通ったのだ。


もしくは、先週のコンベンションセンターに、久瀬さんとふたりで出かけたことを恨まれているのかもしれない。

金曜の帰りには、翌日のポン酢治療について、『明日もよろしく』『はい。気合い入れていきましょう!』という会話を、ふたりでヒソヒソと交わしていたから、それを見られた恐れもある。

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