エリート御曹司は獣でした
弱気になっていた心をなんとか立て直したら、ノックもなくドアが開いた音がした。

勇ましい表情を取り戻し、いざ勝負!と振り向いた私であったが……「え?」と戸惑いの声をあげてしまう。

乗友さんひとりではなく、いつも一緒にランチに出かけている彼女の同期ふたりもいるからだ。


やられた……。

乗友さんが遅れて来た理由は、メイク直しなどではなく、応援を頼みに行っていたみたい。

私は香織の加勢を断ったというのに、仲間をふたりも連れてくるとは卑怯な……。


非難の気持ちをぶつけたくなったが、よく考えれば、八重子ちゃんを騙して嫌がらせをさせるような人に正義を求めても意味はなさそうだ。

せっかく奮い立たせた闘争心もむなしく、ニヤニヤした乗友さんたち三人に囲まれて、劣勢を悟る。


まさか殴られたりしないよね?

大丈夫かな、私……。


「このふたりも、相田さんに言いたいことがあるというから連れて来たの。先ほどあなたが言った通り、直接はっきりと不満を言わせてもらうわ」


乗友さんが巻き髪を手の甲で払ったのを合図に、三人が交互に口撃を開始する。

< 154 / 267 >

この作品をシェア

pagetop