エリート御曹司は獣でした
口をつぐんだことで私が傷ついていると勘違いしたのか、三人は勢いづく。

仕事の次は、彼女たちの得意分野、ファッションを批判された。


「今日も地味でダサイ服装ね。しかも安物ばかり」と乗友さんが馬鹿にすれば、彼女の同期のひとりが補足するように指摘を重ねる。


「その服、確か三日前も着てたわよね? ローテーションは最低でも一週間分は揃えるべきよ」


自分の服に視線を落とした私は、三日前にもこの服を着たかどうか、記憶を探る。

けれども、そう言われると着ていたような気もするけれど……という程度で記憶はあやふやだ。

三日前のお弁当の中身なら簡単に思い出せるのに、服装に関してそうなるのは、興味が薄いせいであろう。


しかしながら、こんな私でも最近になって少しだけ、ファッションに興味を持つようになってきた。

ネットで肉料理のレシピブログを検索していたら、宣伝広告に出てくるファッション系のバナーに目が行くようになり、それを開いて見る時がある。

この前は、雑誌についていた美容室のクーポン券を切り取り、長年の同じ髪型を変えてみようかと思い立った。

久瀬さん好みの髪型に……と思ったのだが、わからないため、聞いてから美容室を予約しようと思っている。

彼の好みに近づけたいという下心のある質問を、本当にできるかどうかはわからないけれど……。

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