エリート御曹司は獣でした
なにも言い返せずに肩を落とそうとも、乗友さんたちは容赦してくれない。

締めはやはりというべきか、肉好きに関しての非難である。


「年中、肉、肉って、鬱陶しいのよ。相田さんに会うと、背景に焼肉屋の光景が見えるようになってしまったじゃない」


そう言ったのは乗友さんの同期のひとりで、もうひとりも「そうそう」と同意する。


「焼肉の匂いまで感じる時があるわ。こっちはダイエット中なのに、お腹が空くからやめてくれない?」


迷惑顔のふたりの言葉に、私は目を見開いて驚いた。

私って、常に焼肉臭がするの!?


思わずクンクンと自分の腕を嗅いでしまったが、カーディガンからは柔軟剤の香りしかしない。

もしかして、私と肉のイメージが強固に結びついているために、幻臭のような感覚を彼女たちに与えてしまっているのだろうか。

それはひょっとして、久瀬さんたち他の社員にも……?


「そ、そんな……。これからは肉を我慢しなくちゃ……」


激しいショックを受けて呆然とする私に、「今のままでいいんじゃない?」と意外にもフォローするようなことを言いだしたのは、乗友さんだ。

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