エリート御曹司は獣でした
私と乗友さん、ふたりでの話し合いかと思いきや、一度、事業部に戻ってきた乗友さんが同期の二名を引き連れて出ていった。

三対一の不利な状況にいる私を心配し、なかなか戻らないことに焦った香織たちは、助けに行かなければと考えたのではないだろうか。

しかし自分たちが間に入るのは怖いから、久瀬さんに頼もうとした。

乗友さんたちの弱点は久瀬さんだ。

憧れの彼に睨まれたら、きっとすぐに大人しくなるだろう。

そう考えたけれども、香織と綾乃さんは課が違うため久瀬さんとの接点は薄く、女同士の喧嘩の仲裁をしろとは頼みにくい。

それで、どんなことも深く考えずにサラリと言ってしまえそうな八重子ちゃんを使ったに違いない。


そう推測した私は、八重子ちゃんに哀れみの目を向ける。

乗友さんの後は香織たちに使われて、天然も大変だ。

気の毒だから、今度なにか奢ってあげようかな……。


余計なことに気がそれた私を引き戻したのは、慌てたような乗友さんの声だ。


「べ、別になにもしてないわよ。四人でファッションやメイクについてお喋りをしていただけなのに、誤解しないで」

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