エリート御曹司は獣でした
見開いた目を横に向ければ、拳ひとつ分もない至近距離にあるのは、険しくしかめられた久瀬さんの顔。
彼は睨むような視線を前方に向け、怒っている様子であった。
どうやら私を引っ張ったのは久瀬さんだったようで、彼の膝に座ってしまった私は、濃紺のスーツの腕にきつく抱きしめられている。
これは一体……どういう状況なの!?
ときめきと混乱に、心臓を大きく波打たせていたら、久瀬さんが不愉快そうな表情を解いて、ニッと口の端をつり上げた。
彼が挑戦的な目を向けている相手は、睫毛のごみを取ってあげると言った、同課の先輩社員である。
「すみませんが、奈々子に手を出さないでもらえますか? 俺の恋人なので」
ちょうど第二課の係長が立ち上がり、『朝礼を始めます』と言った直後であったため、部署内の雑談がやんだ状態であった。
静かな中に久瀬さんの交際宣言が響いてしまったので、解散したばかりの先ほどの集団も、周囲の他の社員たちも、一斉に私たちに振り返る。
一瞬の静寂の後にはどよめきが起こり、もはや朝礼どころではなくなった。
彼は睨むような視線を前方に向け、怒っている様子であった。
どうやら私を引っ張ったのは久瀬さんだったようで、彼の膝に座ってしまった私は、濃紺のスーツの腕にきつく抱きしめられている。
これは一体……どういう状況なの!?
ときめきと混乱に、心臓を大きく波打たせていたら、久瀬さんが不愉快そうな表情を解いて、ニッと口の端をつり上げた。
彼が挑戦的な目を向けている相手は、睫毛のごみを取ってあげると言った、同課の先輩社員である。
「すみませんが、奈々子に手を出さないでもらえますか? 俺の恋人なので」
ちょうど第二課の係長が立ち上がり、『朝礼を始めます』と言った直後であったため、部署内の雑談がやんだ状態であった。
静かな中に久瀬さんの交際宣言が響いてしまったので、解散したばかりの先ほどの集団も、周囲の他の社員たちも、一斉に私たちに振り返る。
一瞬の静寂の後にはどよめきが起こり、もはや朝礼どころではなくなった。