エリート御曹司は獣でした
電車の駅から十分ほど歩いた大通り沿いのこの場所は、今のような雑貨屋やアパレル系の個人ショップ、お洒落なカフェやパン屋などがあり、人通りも多い。

彼は、すれ違う人とぶつかりそうになった私の肩を抱き寄せてくれたり、ショッピングバッグを持ってくれたりと、うっかり恋人として大切にされていると勘違いしそうになる振る舞いを自然にやってしまう。


私はそれにいちいち、ときめきつつ、偽恋人関係になる前なら、社内の知り合いにバッタリ出くわした場合に言い訳に困るので、こうして堂々とふたりで出歩くことはできなかっただろうと考えていた。


部署内で恋人宣言された時には驚き慌て、この先どうなるのかと不安に感じたけれど、こんなに楽しい時間を過ごさせてもらえるんだから、言ってもらえてよかった。

ただ、ポン酢変身体質が完治したら、この関係は解消という期限付きであるため、それを思えばどうしても寂しくなってしまう。


その気持ちを悟られまいとして、私ははしゃいで見せる。


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