エリート御曹司は獣でした
「十七時半ですよ。そろそろレストランに行きませんか? どんな肉料理が出てくるのか、ものすごく楽しみです」

「予約は十八時だけど、お腹空いた?」

「はい!」

「早めに行っても入れるかわからないけど、まぁ行ってみるか」


三日前に久瀬さんと一緒にネット検索して選んだその店は、ここから五分ほど歩いた中通りにあるそうだ。

マンションや民家の立ち並んだ車線のない道を、並んで進む。

人通りはまばらになり、こんな住宅街に本当にレストランがあるのかと心配になったら、三十メートルほど先に、スポットライトに照らされた置き看板がみえた。

店名まで読み取れないが、ワイングラスと葡萄の葉をモチーフにしたマークが見えるので、予約したカジュアルフレンチの店に違いない。


「あそこか。へぇ、隠れ家みたいだな」と久瀬さんが言い、私が笑顔で頷いた。

少し歩調を速めれば、私の着ているミントグリーンのシフォンワンピースの裾を、横から吹いてきた強いビル風がフワリと膨らませる。

「わっ」と声をあげてスカートを押さえたら、「大丈夫?」と優しい声をかけられた。

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