エリート御曹司は獣でした
照れ笑いする私は、止めていた足を前に進めながら、この服を選ぶのに二時間もかけたことを思い出していた。

三日前、今日のデートのためにネットショップで購入したこの服は、肉代にかけるお金を削って費用を捻出した。

久瀬さんは普段の飾り気のない私の服装でも構わないようだけど、私が隣を歩く彼に恥をかかせたくないと思ったのだ。

お洒落センスには自信がないため、色々なアイテムを組み合わせるよりは、ワンピースにした方が間違いないだろう。

その考えは正しかったようで、「言い忘れてたけど」と前置きした彼が、はにかむような笑顔を見せて、「その服、奈々子に似合ってるよ。可愛い」と褒めてくれた。


甘い、甘すぎる。

どうしよう、嬉しすぎて溶けてしまいそうです……。


私が盛大に照れたその時、急にポタポタと雨粒が降ってきた。

今日は雲ひとつない晴天で、天気予報でも雨は降らないと言っていたのに、なぜ……?

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