エリート御曹司は獣でした
まるでダイエットみたい……と、グッタリしている彼を見ながら、私は考える。

最初はグングン体重が落ちても、途中からは体重計が壊れてしまったのかと思うほどに減らない停滞期というものがやってくる。

努力が成果に結びつかないこの期間、モチベーションを保つのが難しく、ダイエットをやめてしまいたいと思うほどにつらい。

きっと久瀬さんも、そのような苦しみを感じているのではないかと推測し、同情を寄せていた。


どうしよう……仕事ネタも尽きてきたし、ここらでなにか、新しい作戦に切り替えた方がいいのかもしれない。

そうすれば久瀬さんも、治そうという前向きな気持ちを維持しやすいだろうし……。


それから私たちは予約したカジュアルフレンチの店に入った。

服についたポン酢のシミは、濡らしたハンカチで拭き取ればそれほど目立たず、このままで大丈夫だと思うことにする。

レンガと白壁の店内は、お洒落で素朴な味わいがあり、落ち着けそうだ。

全テーブル席の間にイミテーションの蔦を這わせたつい立てがあるので、半個室の雰囲気があって会話がしやすそうでもある。

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